ワイヤ放電加工機による微細加工
ワイヤ放電加工は工作物を溶融させながら、加工する工作機械で、切削加工や研削加工とは全く違う加工法になります。ワイヤ放電加工機には様々な仕様用途があり、ワイヤ放電加工機にしかできない加工がたくさんあります。こちらの記事では、ワイヤ放電加工機の微細加工に着目して解説を行っていきます。
ワイヤ放電加工機の特徴
ワイヤ放電加工機の特徴の例としては以下のものがあります。
① 基本的に導電性のある材料であれば、どんなに硬い材料でも加工することが可能。
② ワイヤと工作物の非接触加工であるため、特別な工具を準備する必要がない。
③ NCプログラムが作成できる加工形状であれば、複雑な曲線形状が可能
ワイヤ放電加工機で微細加工ができる理由
それではなぜワイヤ放電加工機は微細加工が可能なのかについて解説していきます。
ワイヤ放電加工が微細加工可能な理由としては切断幅が他の工作機械に比べて微小(ワイヤ線径(φ0.1~0.3mm)+放電ギャップ(数μ~数十μm))であるため、切削加工では困難な微細加工や薄板加工が可能になります。
また、ワイヤ放電加工機はワイヤ電極から放電することで素材を加工するため、ワイヤと素材が直接触れることはありません。そのため、加工による圧力でひずみやバリができることはありません。このことから、微細な加工でも高精度に加工することが可能となります。
ワイヤ放電放電加工機で微細加工を行う上でのポイント
次にワイヤ放電加工機の微細加工を行う上でのポイントをご紹介いたします。
① ワイヤ電極の線径の選定
ワイヤ電極は加工物の厚みや形状精度(最小コーナR)、加工目的などにより線径を選定します。微細な形状加工するには細径のワイヤ電極が向いています。細径のワイヤ電極の場合はピン角が丸くなりにくいため、小さいコーナRやスリット幅が小さい加工するのに最適です。
しかし、板厚が大きい場合は加工速度が遅くなることや細径のワイヤを使用できるワイヤ放電加工機の選定が必要等のデメリットもあります。
② 加工液(水と油)使い分け
一般的なワイヤ放電加工では加工速度が大きい水加工液が多く用いられていますが、油加工液のほうが微細加工に適しているといえます。油加工液は絶縁性が高いため、放電ギャップが小さく、形状や寸法精度も安定しやすい特徴があり、面粗さも水加工に比べて細かい面を得ることができます。
しかし、油加工液については加工速度が水加工より加工が遅いことや水加工液のワイヤ放電加工機に比べて機種代が高額などの問題点もあります。機種選定の際の予算や要求する加工精度と加工時間との兼ね合いで選択することになります。
微細加工ができるお奨めのワイヤ放電加工機をご紹介
それでは微細加工に適したワイヤ放電加工機をご紹介いたします。
三菱電機製 MXシリーズ
三菱電機の油加工液を使用したワイヤ放電加工機「MXシリーズ」
水に比べて放電ギャップが小さいため、リードフレームや電子コネクタ関係、極小R加工されるユーザー様におすすめです。φ0.05㎜ワイヤ電極の高い結線を実現可能としています。
加工例:高精度ギア加工
機種:三菱ワイヤ放電加工機MX600
電極材:φ0.05/SED(Zn)
工作物:超硬合金(KD20)
板厚:3㎜
精度:形状±1μm
面粗さ:Rz:0.3㎛/Ra0.04㎛
三菱電機製 MPシリーズ+OP:φ0.05、0.07ワイヤ線自動結線仕様、超仕上電源(Super-DFS電源)
三菱電機の水加工液を使用する加工機の中でフラグシップモデルとなる「MPシリーズ」
機械全体の温度を同調管理し、熱変異補正も自動で行い、水ワイヤ加工機でありながら従来の油ワイヤ加工機並の精度を誇ります。また、MPシリーズはオプションを付属することにより微細加工が可能となります。φ0.05、0.07のワイヤ線の自動供給仕様についてもオプションにより対応可能となります。
さらに超仕上電源(Super-DFS電源)のオプションをつけることにより高速微細加工面仕上がりが可能となります。
加工例:微細スリット加工
https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/products/mecha/edm/pmerit/example/wire/w0243.html
機種:三菱電機ワイヤ放電加工機MP1200
電極材:0,05スミスパークγM
工作物:steel
板厚:0.5~1.0mm
形状:±1μm
面粗さRz0.80μm/Ra0.10μm
まとめ
いかがでしたでしょうか。ワイヤ放電加工機は他の工作機械に比べて、微細加工を得意としておりますが、微細加工を行ううえでは要求精度に合わせた機械選定が重要となってきます。三菱電機では微細加工に適したワイヤ放電加工機を多数ラインナップしております。
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