2020.11.02
技術最前線

高精度形彫放電加工機 SV-Pシリーズ

今回は三菱電機形彫放電加工機のフラッグシップモデル「SV-Pシリーズ」をご紹介します。

1.SV-Pシリーズの製品ラインナップと基本スペック

2.三菱電機AI技術「Maisart」についてご紹介

3.SV-Pシリーズの特徴

4.加工事例

5.その他情報

の5つに分けてご紹介します。では早速見ていきましょう。

1.SV-Pシリーズの製品ラインナップと基本スペック

SV-Pシリーズは2018年6月に発売された、コネクターなどの微細加工からスマートフォンや自動車部品などの中大面積まで多種多様な加工に適しており、ピッチ加工3㎛を保証する三菱電機形彫放電加工機の最上位機種です。軸移動量がX300×Y250×Z250の「SV8P」とX400×Y300×Z300の「SV12P」があります。
基本スペックは同じですが、SV8Pは石定盤となっています。
その他機械スペックは以下の通りです。

SV8P SV12P
軸移動量(X×Y×Z)mm 300×250×250 400×300×300
加工槽内寸法(X×Y×Z)mm 800×520×300 950×700×450
工作物最大質量 Kg 550 1000
テーブルの大きさ(X×Y)mm 500×350 700×500
設置スペース(幅×奥×高)mm 1530×1910×2140 1725×2070×2420
標準搬入間口(幅×高)mm 1117×2140 1286×2420
最良面粗さ(HGM2回路の場合) Ra0.06μm Ra0.06μm
加工精度保証 ±3μm ±3μm

2.三菱電機AI技術「Maisart」についてご紹介

Maisartとは三菱電機のAI基盤技術及び応用技術などを踏襲したAI技術ブランドの

総称です。

SV-PシリーズにはこのAI技術である「Maisart」が標準搭載されています。

Maisartが搭載されていることにより、加工時の進行状況を自動判断するなど、

加工状態をリアルタイムに把握することで生産性を30%向上(従来機EA-PSシリーズとの比較)を実現しています。

今回は「Maisart」の機能の一部についてご紹介いたします。

 

〇適応制御IDPM

適応制御IDPMにより、グラファイト電極加工において、リアルタイムに加工状態を

自動認識し、加工エネルギーを制御しています。

加工エネルギーを制御することにより、グラファイト電極の低消耗、高速化により

総加工時間を短縮することが可能となります。

   電極エッジ部拡大(左:IDPM3、右:IDPM無し)

 

〇自動ジャンプ制御

AIによる加工状態を制御装置が判断し、加工が安定するようにジャンプアップ量を

最適化します。

また、加工速度の向上、電極消耗の低減等、優先順位の設定に応じて自動で調整することも可能です。

図のように加工の深さに応じて、加工が安定するように自動でジャンプアップ量

の調整を行います。

 

3.SV-Pシリーズの特徴

次にSV-Pシリーズの特徴についてご紹介いたします。

〇機械剛性アップ

ラム鋳物構造変更により機械剛性が向上し、中大面積加工性能が向上しました。

(面均一性向上、過去時間短縮、電極ばり抑制)

 

     (左図:従来機種 構造解析結果、右図:SV12P構造解析結果)

 

〇サーマルバスター

三菱の独自技術「サーマルバスター」を標準装備しており、機械設置環境の温度変化をセンサリングし、機械構造体の熱変位を予測することにより各軸の移動量を制御します。また、長時間加工時の昼夜の環境温度変化と加工液温度を「見える化モニター」で可視化を行います。

         サーマルバスター説明図

           ±3℃環境での各軸変化量

 

4.加工事例

次にSV-Pシリーズを用いて加工を行った加工例をご紹介いたします。

 

加工例1:薄リブ加工サンプル

機種:SV8P

工作物:銅材(SKD61)

電極:グラファイト(TTK5)

   リブ厚み:先端0.7mm

加工深さ:40mm

面粗さ:Rz56μm

・三菱のAI技術「Maisart」による加工安定化と加工時間の短縮。

 加工中の深さを認識し、判別機能を活用したサーボ安定制御により均一な加工面を

 実現しています。

・IDPMの進化(IDPM3)によりグラファイト薄リブ電極での高速消耗加工

 を実現しています。

 

加工例2:大径精密ギア加工

工作物:銅材(XYR3)

電極:銅

ギア径:φ100㎜

加工深さ:10.0mm

面粗さ:Rz:4.5μm

    Ra:0.68μm

加工精度:±0.005mm(歯溝振れ精度)

・加工状態の認識と適応制御による加工安定性の向上と加工時間の短縮を

 実現しています。

・機械構造隊の更なる剛性アップにより均一な面質と形状精度の向上を実現しています。

 

加工例3:中大面積加工サンプル

工作物:SUS440CP

電極:クロム銅

加工面積:15mm×80mm

面粗さ:Ra0..6μm/Rz5.0μm

底面平面度:3μm以下

・加工状態の認識と適応制御による加工安定性の向上と加工時間の短縮を実現

 しています。

・機械構造隊の更なる剛性アップにより均一な面質と形状精度の向上を実現しています。

・加工中に発生する電極バリを抑制しています。

 

5.その他情報

SV-Pシリーズには三菱電機IoTシステム「iQ Care Remote4U」に対応しており、加工の進捗状況など装置稼働状態を遠隔で監視し、運用と保守を支援します。
また、加工機のヘッドにカメラを装着し、ワークを定盤から外すことなく測定することができます。他にも、カメラで常時作業風景を撮影し、リモート診断や作業分析に活用することもできます。

 

6.最後に

いかがでしたでしょうか。

もっと詳しく知りたい方は下記ダウンロード資料をご覧ください!

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