ワイヤー線の太さによる違いについて
放電加工とは?
放電加工とは一般的な刃物で金属を加工する方式に対して、
電気エネルギーを利用して金属を加工する方法です。基本的には、
油や水などの絶縁体の加工液の中で、電極と通電性のある被加工物の間で
短時間のパルス性放電を繰り返し発生させることで生じる火花により、
加工物を溶かしながら電極の形に彫り込む加工方法です。
放電加工の仕組みとは?
放電加工は、水もしくは油の加工液に沈められた加工物を
銅やグラファイトといった素材を使用した工具の電極を向い合わせに近づけていき、
電極に電流を流して加工します。ここでは加工物と電極が絶縁状態ですが、
向かい合わせの状態から次第に近づけると、2つの間で絶縁破壊が起こります。
この絶縁破壊とは、ある限度以上を超えた時、
電気抵抗が急激に低下し、突然絶縁性を失って大電流が流れる現象のことです。
この絶縁破壊によって、パルス電流が瞬時に流れ込むことで、
アーク柱という高密度な放電状態が発生し金属加工物の溶融と加工液中の温度が
上昇することによる急激な体積膨張が発生します。
パルス電流の流れ込みが終わると、体積膨張した分だけ加工液が流れ込んできます。
そして生成された溶解金属が加工液により冷却され、
極小の加工くずとして洗い流されます。
このような絶縁破壊と溶融が、非常に短い間隔で繰り返されることで加工をします。
ワイヤー放電加工のワイヤー線の太さと材質とは?
ワイヤーカットでは、ワイヤー線の太さによって加工精度と加工時間が異なります。
一般的に、ワイヤー線が太いほど加工時間は早くなる傾向がございます。
細線ワイヤーを使う場合にはコーナー部分のR径とスリット幅が小さい場合に使用されます。
コーナーR径を気にせずに早く加工する際には太いワイヤー線を使用します。
さて、ワイヤー線の太さはワイヤー線の材質によっても異なります。
一般的にワイヤーカットでは主に真鍮製のワイヤー線が用いられていますが、
他にもタングステンやモリブデン製のワイヤー線が用いられています。
これは、タングステンやモリブデンの方が真鍮よりも放電特性に優れているためです。
例えば、ワイヤー線が細い場合は、真鍮ではテンションをかけにくい一方、
タングステンやモリブデンはある程度の引張り強さを保つことができるため、
細いワイヤー線の材料として用いられています。
ただし、タングステンワイヤー線は真鍮ワイヤー線よりも高価なため、
加工コストとしては増加してしまいます。
また、全体的な割合としては真鍮製のワイヤー線が用いられている場合がほとんどです。
このように、ワイヤー線の材質は加工精度とコストに大きく影響するため、
加工目的に応じて適切にワイヤー線材質を選ぶ必要があります。
まとめ
今回は、ワイヤー放電加工のワイヤー線についてご紹介をさせていただきました。
ワイヤー線の材質は加工精度とコストに大きく影響するために
それぞれの加工目的にあったワイヤー線を選定することが重要です。
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