放電加工機を用いるべきワーク形状とは
1.はじめに
世の中には様々な工作機械があり、様々な加工方法があります。
その中でも放電加工機はニッチな加工機であり、
工作機械全体から見れば台数も少ないです。
しかし少ないけれども長く存在し続けているには理由があります。
今回はそのような切り口から、
「放電加工機を用いるべきワーク形状」と題して
放電加工機が長く存在し続けている理由をご紹介します。
2.ピン角の加工
製造業で広く使われている加工機は切削加工機です。
切削加工機にはフライス、マシニングセンター、旋盤などがあります。
切削加工機の代表格ともいえるマシニングセンターは
プログラミングや工具を駆使して、柔軟かつ精密な加工を行えます。
しかし、そんなマシニングセンターでも困難な加工があります。
それは内角部のピン角加工です。
例えば下記のような形状です。
※画像引用元:株式会社小川製作所 町工場ブログ「切削加工のできること、できないこと」
切削加工は工具を回転させて、ワークを削りとっていきます。
その為、工具が折り返す部分は必ず円弧状の形状が残ります。
設計上問題がなければピン角を避けるべきできすが、
どうしてもピン角が必要な場合は形彫放電加工機を使用すればピン角が実現できます。
形彫放電加工機は加工したい形状と反転した形状の電極を転写することができるので、
外角ピン角で加工した電極を転写することで内角のピン角が実現できます。
(厳密にはR0.02~0.05程度のRはつきます)
しかし形彫放電加工機は電極を製作する必要があるので、その分の費用と手間が
かかるので注意が必要です。
3.アンダーカット形状の加工
アンダーカット形状とは下記のような形状のことです。
※画像引用元:MiSUMi 製造現場から褒められる部品設計の秘訣「切削加工が難しい形状-アンダーカット」
ポケット形状の部分を切削機で加工をしようとすると、
その上の形状が邪魔で工具が入らず、加工することができません。
段取り替えをすれば切削機でも加工が可能なアンダーカット形状はあります。
しかし例に挙げた形状のポケット形状を切削機で加工するには、
工具を真上から当てるしか加工できません。
そこで形彫放電加工機の出番です。
下図のような電極を作成し、形彫放電加工機で放電加工することで
切削機では出来なかったアンダーカット加工が形彫放電加工機では実現可能になります。
しかし、前述したように電極を作成する手間がかかるので工賃も高くなってしまいます。
※画像引用元:MiSUMi 製造現場から褒められる部品設計の秘訣「切削加工が難しい形状-アンダーカット」
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
様々な記事でも触れていますが、放電加工機は通電するワークであれば
硬さに関係なく加工ができるメリットがあるので、
高硬度なワークの加工は放電加工機を用いるべき加工と言えます。
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参考