2024.08.20
技術最前線

三菱電機製 電極・ワーク自動交換装置EDCHANGE SLIM【自動化による省人化の提案】

はじめに

現代の製造業において、省人化の必要性はますます高まっています。

特に部品や金型の製造において、熟練作業者の不足やコスト削減のプレッシャーにより、自動化技術の導入が急務となっています。

自動化を取り入れることで、製造ラインの効率が大幅に向上し、人手不足の解消や生産コストの削減が可能になります。

本記事では、省人化に向けた自動化技術の有用性を最大化できる電極・ワーク自動交換装置EDCHANGE SLIMについて詳しく説明します。

省人化・自動化の予備知識

1. 製造業における省人化の背景

日本の製造業界は、少子高齢化による人手不足や技術者の高齢化が深刻化しています。

また、グローバル競争が激化する中で、製造コストの削減と品質向上を同時に達成することが求められています。

このような状況下で、省人化は単なるコスト削減策ではなく、企業の競争力を維持するための重要な施策となっています。

2. 自動化の導入がもたらすメリット

自動化技術を導入することで、次のようなメリットが得られます。

  1. 生産効率の向上: 自動化されたシステムは24時間365日稼働可能であり、一定の品質で大量生産が可能です。これにより、短納期対応や多品種少量生産といった柔軟な生産体制を実現できます。

  2. コスト削減: 労働力コストの削減だけでなく、材料ロスの低減やエネルギー消費の最適化にも寄与します。特に金型製造では、精密な加工が求められるため、自動化により高精度の加工を安定して行うことができます。

  3. 品質の均一化: 人による作業ではどうしても発生する個人差をなくし、一定の品質を維持することができます。これにより、不良品の発生を抑え、顧客満足度の向上につながります。

3. 自動化システムの導入事例

具体的な自動化システムとして、形彫加工の自動化パッケージが挙げられます。部品や金型の形状を高精度で加工するための自動化技術を提供できます。例えば、形彫自動化システムパッケージには以下のような構成が含まれます。

  • 形彫加工機: 主となる加工機です。
  • ロボットアーム: 加工部品の自動搬送や工具交換を行い、省人化を実現します。
  • 加工プログラム: CADデータをもとに自動で最適な加工工程を生成し、作業の効率化を図ります。

このような自動化パッケージを導入することで、従来は熟練技術者の手作業に頼っていた工程を大幅に効率化し、省人化を達成することができます。

4. 自動化導入の課題と解決策

自動化技術の導入には初期投資が必要であり、導入の決断には慎重な検討が求められます。

しかし、長期的な視点で見ると、コスト削減効果や生産効率の向上によって十分に投資を回収できるケースが多いです。

また、技術の進化により、システム導入後のメンテナンスや操作が簡便化されており、中小企業でも導入しやすい環境が整いつつあります。

さらに、従業員の再教育や新技術の習得も必要となりますが、これも効率的な研修プログラムを導入することで対応可能です。

特に、操作が直感的で分かりやすいインターフェースや、リモートでのサポート体制を整えることで、導入後の運用もスムーズに行えます。

5. 自動化による未来の製造業

自動化技術は今後も進化を続け、AIやIoTを活用したスマートファクトリーの実現へと向かっています。

これにより、さらなる省人化が進み、製造ライン全体の最適化が図られることで、品質の向上とコスト削減が一層促進されます。

特に、AIを活用した予知保全やリアルタイムでの生産データ分析は、設備のダウンタイムを最小限に抑え、安定した生産を維持するための強力なツールとなるでしょう。

これにより、競争が激化する市場においても、企業が持続的な成長を遂げるための基盤を築くことが可能です。

このように、自動化の導入は省人化だけでなく、全体的な生産効率や品質向上に寄与します。

特に、形彫加工のような高精度が求められる分野では、自動化の効果は非常に大きいです。

電極・ワーク自動交換装置EDCHANGE SLIMの基本情報

EDCHANGE SLIM紹介動画

機械本体寸法

幅820×奥1640×高2360(mm)

収納例

  • 簡易タイプ収納例 (電極:□70mm/ワーク:φ160mm)
    • 電極56本/ワークパレット無し
  • 標準タイプ収納例 (電極:□70mm/ワーク:φ160mm)
    • 電極84本/ワークパレット12個
  • 最大容量収納例 (電極:□70mm/ワーク:φ160mm)
    • 電極150本/ワークパレット22個

特長

  • 横幅、僅か820mm
    • 狭いスペースにも置けるようスリムに進化
    • 多数の電極・ワークを交換し、長時間連続運転を手軽に実現
  • 小型・中型ワークに最適
    • □200mm・30kg(治具含む)までのワークに対応
  • 電極・ワークバリエーションに柔軟に対応
    • ラックを3つまで拡張可能。ラックの棚板は電極長さに合わせて調整可能
    • GF Machining Solutions社、EROWA社の電極ツーリング・パレットに対応
  • 既設機への後取付け対応
    • 対応機種:SV-Pシリーズ、EA-PSシリーズ、EA-Sシリーズ(自動昇降式)、EA8PV ADVANCE、EA12V ADVANCE
    • 必要装備:加工槽昇降装置、LANカード
  • 万全な安全対策
    • 電極/ワーク衝突防止センサを装備。
    • 人が間違ったマガジンに電極/ワークを置いてしまってもロボットの衝突を防止
    • 安全仕様として、安全マットを標準付属。

ワーク/電極着脱動画

EDCHANGE SLIMを導入した効果

加工機を加工にフルに活用(稼働率の向上)

芯ずれやワークオフセットの設定作業(段取り)と加工条件付きNCプロ作成を加工機を使わずに実施できるため、

加工機には加工のみをやらせるという本質的な使い方が可能になり、

稼働率が大幅に向上します。

簡単に芯ずれやワークオフセット設定作業ができる

CAD/CAMを使用して、測定プログラムを作成し、そのプログラムを使って3次元測定機にて自動で測定し、測定データを自動で出力できます。

結果、芯ずれ、ワークオフセット測定が簡単にでき、作業効率も向上します。

加工ミスの削減

自動化を導入したことで加工品質の均一化を実現し、加工ミスを削減する効果が生まれます。

従来に対し加工ミスが80%減、稼働時間が500時間/月になったというデータもあります。

自動化システム事例

構成されるハードウェア

  • 三次元測定機
  • 三菱電機製ソフトウェア:ESPERADVANCE PRO
  • 三菱電機製形彫放電加工機:SV12P
  • 三菱電機製電極・ワーク搬送装置:EDCHANGE SLIM

それぞれの役割

  • 三次元測定機
    • 電極芯ずれデータ測定
    • ワークオフセットデータ測定
  • ESPERADVANCE PRO
    • 放電加工プログラム作成
    • 加工条件検索/調整
    • 外段取りデータ読み込み
  • SV12P
    • スケジュール作成
    • 放電加工
  • EDCHANGE SLIM
    • 電極自動交換
    • ワーク自動交換

導入効果

  • 外段取り作業による高稼働率システムで稼働時間600時間/月以上を達成
  • 搬送装置での電極/ワーク自動交換による、昼夜連続運転が可能に
  • ハイグレードモデルSV12Pによる高安定連続運転が可能に