ワイヤ放電加工機(ワイヤーカット)基礎知識Vol.1
みなさんこんにちは。
今回は「ワイヤ放電加工機とは?」についてご紹介します。
「放電加工機とは何か?特徴から種類、価格まで解説!」でもワイヤ放電加工機について触れましたが、
今回はもっと深堀りしていきたいと思います。
では早速見ていきましょう。
1.ワイヤ放電加工機(ワイヤーカット)の基礎知識
ワイヤ放電加工機は黄銅ワイヤ線を用い、
液中放電現象による電気エネルギーを利用して工作物を溶融、除去しながら
糸のこのように輪郭形状を加工する工作機械です。
工作物の硬さに関係なく高精度な形状加工ができ、幅広い分野で利用されています。
2.工作物が加工されるまで
ワイヤ放電加工機で工作物を加工する時、以下のような流れで加工されています。
①ノズルから加工液(イオン交換水または油)を供給しながら工作物とワイヤ線間に電圧を加える
②ワイヤ線が工作物に近づき、火花放電が発生
③アーク柱ができ電流が流れ、工作物とワイヤ線の一部を溶解させる
④アークの熱で周囲の加工液(イオン交換水または油)が一挙に気化・膨張し、
局部的な爆発現象で溶けた金属が吹き飛ばされる
⑤電流が停止し、アークが途絶えて加工部が冷却され、くぼみ(クレータ)が生成される
3.ワイヤ放電加工機(ワイヤーカット)の加工回数と加工精度
ワイヤ放電加工機での加工は大きく「荒加工」と「仕上加工」の2つに分けることができます。
荒加工とは、工作物から仕上加工代を残して、製品に近い形状になるように加工する工程です。
仕上加工とは、仕上代を除去し要求精度通り製品形状、面粗さに仕上げる工程です。
また各加工回数ごとに役割、重要度も異なります。
加工回数 | 目的 | 内容 | 重要度 |
1st | 荒加工 |
ワイヤが断線しない程度の 最大条件で加工 |
C+ |
2nd | 形状修正加工 |
コーナーダレの修正 真直度の修正する加工 |
A |
3rd | 形状修正加工 |
形状修正 面粗さ向上 |
B+ |
4th |
仕上加工 面粗さ決定 |
指定された面粗さに加工 | B |
5th | 仕上加工 |
微細面粗さ 変質層対策 |
B |
6th | 超仕上加工 |
最良面加工 変質層対策 |
B |
4.ワイヤ放電加工機(ワイヤーカット)の加工対象
ここではワイヤ放電加工機での加工対象をご紹介します。
5.ワイヤ放電加工機(ワイヤーカット)による微細加工
ワイヤ放電加工は、微細加工を得意としています。切削加工では困難な微細加工や薄板加工が可能です。
その理由は、切断幅が他の工作機械に比べて微小(ワイヤ線径(φ0.1~0.3mm)+放電ギャップ(数μ~数10μm))なためです。
>>ワイヤ放電放電加工機で微細加工を行う上でのポイントとは?
6.ワイヤ電極線を選ぶ上でチェックしておきたいこと
ワイヤ放電加工機を使用する際、ワイヤ放電加工機の刃物と呼べる「ワイヤ電極線」の選定も重要です。
まず、1つ目に考慮するべきなのが、「ワイヤ電極線の線径」です。一般的にはφ0.2~φ0.25を使用するケースが多いです。加工機に使っている「ダイス」の径にあった線径のものを選んでください。大きいとワイヤ電極線が通りませんし、小さいと加工中に電極線がブレてしまいます。
>>その他の、ワイヤ電極線を選ぶ上でチェックしておくべき点はこちら
7.中古ワイヤ放電加工機(ワイヤーカット)の購入・導入におけるポイント
ワイヤ放電加工機を導入するにあたって、中古品の購入を検討されている方も多いかと思います。その際、搬入・据付調整後にすぐ壊れたり、思った精度が出ないということを避けるために、事前に以下のような項目を確認する必要があります。
・機械の電源が入るか
・板金に汚れ、穴あきなどが無いか
・データ入出装置は何か?作動するか?
・自動結線装置は作動するか
・駆動軸、ポンプに異音がしないか
・水漏れしていないか
・加工液(水)がタンクから加工テーブルまで上げってくるか、またタンクへ戻っていくか
・基板や部品のメーカー保守は終了していないか
・各部品の消耗度合い
・ユニットクーラーがある場合は作動するか etc….
8.三菱電機ワイヤ放電加工機(ワイヤーカット) MVシリーズ・MXシリーズ
ワイヤ放電加工機を導入するにあたって、最も重要なことの1つが機種の選定です。
本記事内では、当社がおすすめするワイヤ放電加工機 2機種をご紹介いたします。
三菱電機ワイヤ放電加工機 MVシリーズ
MVシリーズは三菱電機のワイヤ放電加工機で一番採用されている機械です。高精度加工から汎用的な加工までオールラウンドに対応ができます。
三菱電機ワイヤ放電加工機 MXシリーズ
MXシリーズは加工液が油であるため、水に比べて放電ギャップが小さいです。リードフレームや電子コネクタ関係、極小R加工をされるユーザー様におすすめの機種です。
9.ワイヤ放電加工機(ワイヤーカット)の導入事例
当社では、今までに数多くのお客様に対して、ワイヤ放電加工機の導入に携わらせていただきました。本記事では、その内の3件をご紹介いたします。
導入事例①:株式会社タカタ工業様(プレス金型の製造、三菱ワイヤ放電加工機MV2400R)
株式会社タカタ工業様では、従来所有していたワイヤ放電加工機が、導入から10年が経ち、精度が衰えてくる頃なので、更新を検討されていました。その際、ワイヤ放電加工機を使った加工は高精度かつ高度な加工を要求されることが多く、使用頻度も多いので、最新機械の導入を決意されました。
導入事例②:株式会社江川製作所様(プレス金型の製造、及びプレス加工、三菱ワイヤ放電加工機MV1200S)
株式会社江川製作所様では、既設のワイヤ放電加工機の老朽化が顕著に現れており、数年前、突然基板が故障し、機械が停止してしまいました。その事故をきっかけに危機感が高まり、ワイヤ放電加工機の購入を決意されました。
導入事例③:株式会社N様(機械加工業、三菱ワイヤ放電加工機MP4800)
株式会社N様では、ある時お客様から「440mm×440mm以上の社内専用治具の需要が高まっており、それは消耗品ということもあり、供給が追いついていない」というお話をお聞きされました。
確認すると、それは、これからさらに需要が高まる内容のものでしたが、従来のワイヤ放電加工機の最大ストロークが600mm×400mmで、加工することができませんでした。
この時点では社内専用治具の加工のお仕事を受注していませんでしたが、需要が高まることを確信されていたので、専用治具の加工ができるワイヤ放電加工機の購入を決意されました。
10.ワイヤ放電加工機(ワイヤーカット)の価格・治具・加工条件・加工時間
ここまでワイヤ放電加工機の、様々な情報をご紹介いたしましたが、まだまだ、お伝えしきれない情報がございます。続き(ワイヤ放電加工機(ワイヤーカット)基礎知識Vol.2)を作成いたしましたので、ご興味がある方は是非ご覧ください。
>>ワイヤ放電加工機(ワイヤーカット)の価格・治具・加工条件・加工時間についてはこちら
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