ワイヤ放電加工機での水仕様・油仕様 超硬合金加工について
超硬合金は硬度が高く、放電加工機が有益な加工手段となっています。
但し、ワイヤ放電加工機は水仕様と油仕様とがあり超硬合金加工について留意しなければならない点があります。
水仕様と油仕様
加工速度
水仕様は通常使用するφ0.2前後のワイヤ電極線での加工速度が油仕様より早いです。
ただし油仕様はφ0.07ワイヤ電極線で水仕様と加工速度が同等になり、φ0.05以下のワイヤ電極線では、油ワイヤ仕様の加工が早くなることがわかってきました。
面質
油仕様の方が一見、加工面がきれいに見えますし、実際に面粗さを細かくできます(Rz0.3以下)。一方で水仕様の場合は若干最良面質が落ちます(Rz0.6程度)。
加工面にはどちらも変質層が形成されますが、油仕様はカーボンの影響で硬くなり、水仕様は熱影響でもろくなります。どちらも微小クラックがあります。
水仕様ワイヤ放電加工機での超硬合金加工の注意点
超硬合金はタングステン・カーバイト(WC)と結合剤であるコバルト(Co)でできていますが、加工液が水での加工の場合にCoがワークから流出する場合があります。
超硬合金の種類によって異なりますが、早いものだと連続加工時間が10時間でCoが流出するものもあります。長いものでも20時間が目安と言われています。
結論
φ0.05ワイヤ電極線を使い加工時間が10時間を超えるものは、油仕様ワイヤ放電加工機がお勧めです。
φ0.2ワイヤ電極電を使い、加工時間が10時間以下の場合は水仕様ワイヤ放電加工機が生産性が上がります。
上記の様に単純に判断できない場合もあると思います。
放電加工機お役立ちナビでは、お客様の加工内容を把握した上で、油・水仕様の選定のご協力をさせていただきます。何なりとご相談くださいませ。